『赤い水曜日』著者を招き慰安婦問題シンポジウム
慰安婦問題が浮かび上がって30年。韓国における運動の経過を回顧した『赤い水曜日 慰安婦運動30年の嘘』(文藝春秋)が出版されたのを契機に、その著者で国史教科書研究所の金柄憲(キム・ビョンホン)所長を招いて「慰安婦問題を巡る日韓合同シンポジウム」(国際歴史論戦研究所主催)が先月16日開かれた。
ところで、書名の「赤い水曜日(빨간 수요일 パルガン スヨイル)」とは、挺対協(挺身隊問題対策協議会)が1992年1月から毎週水曜日にソウルの日本大使館前で行ってきた反日集会のことを指す。
雨の日も風の日も、コロナ禍に見舞われた渦中でも毎週水曜日に欠かさず行われ、11月30日の時点で通算1572回目を数え、世界で最長・最多回数を誇るギネス級の集会・デモだと自慢する。
韓国語にもある「真っ赤な嘘」
本のタイトルでは、その水曜集会がなぜ「赤い」のか。
日本語版の本の帯には「慰安婦の証言は『真っ赤な嘘』だった」「彼女たちは性奴隷ではなく、強制連行もされていない」とある。
実は、韓国語にも「真っ赤な嘘(새빨간 거짓말 セパルガン コジンマル)」という言い方があり、日本語と同じで嘘(うそ)はただ赤い(빨간 パルガン)だけではなく「真っ赤(새빨간 セパルガン)」なのである。
この種の政治集会は、ただ長ければいいというわけでもない。30年間も毎週続けてきた割には、何の成果も出せず、元慰安婦たちの待遇が改善されたわけでもなく、ただ日韓関係を最悪にしただけだった。
そんな慰安婦運動を「嘘」だと認定し「赤い」という形容詞をつけたのだろう。
これは稿を改めて論ずることにするが、この「赤い」は挺対協など慰安婦支援団体と北朝鮮との関係についても示唆しているものと思われる。
「慰安婦運動30年の嘘」
『赤い水曜日』の韓国語版の裏表紙には、「慰安婦運動30年」の結論として、「国民をだまし、世界を欺き、子供たちに暴力性を植え付ける歴史歪曲現場の『水曜集会』は、今こそ根こそぎに正さなければならない!」として次のように記している。
30年間、水曜集会は雨が降っても、雪が降っても、寒くても、日本大使館の前に集まって開かれてきた。しかし、これほど長い期間をかけても、この問題はなぜ解決されなかったのか、そのことを今は考えなければならない。(中略)その理由は、そもそも責任の所在を明確にせずに、「日本の責任と賠償」を要求し、日本軍の強制動員と日本軍性奴隷説を主張し、戦争犯罪被害者であるという嘘を主張したからだ。
小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から2022年8月までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。