庶民生活を知るべくホテルを脱走した中国人
北朝鮮の官製報道が伝える北朝鮮だけなく、もっと庶民の生活を知りたいと思うのは中国人も同じなようだ。
中国SNSに北朝鮮ツアー中にホテルを脱走して「平壌ナイトツアー」をしたという投稿があった。
投稿内ではホテル名の記載がないが、多くの中国人ツアーが宿泊する羊角島ホテルのようだ。
羊角島ホテルは、中州のしかも一番端に位置するホテルのため、夜間は真っ暗で移動は難しい。
橋を渡って市街地へあるので彼らは平壌駅がある北側へ向かったのかもしれない。
ガイドの指示に従えばご褒美で
私たちは平壌市内のレストランで夕食後、ホテルへ戻るツアーバスへ乗り込んだ。
移動中もガイドがずっと説明してくれたので、写真を撮りながらの移動ができた。
ガイドによると、今回の20数人のツアーグループ中、実に20人も若者がいるとか。普段は70、80代の高齢者がほとんどで、若者は数人しかいないそうだ。だから、ガイドはびっくしたと話していた。
ガイドは、ずっと写真を撮っている私へ、「写真を撮るのがお好きなんですね」と声をかけてきた。「はい」と答えると、ガイドは、「写真と撮る時は、見栄えが良いものを撮り、見栄えが悪いものは撮らないように気をつけてください」と注意してきた。
ホテルへ戻ったら、ガイドに夜の買い物へ連れて行ってほしいとリクエストした。
するとガイドは、「皆さん、疲れているでしょうから、ツアーが予定通り順調に進めば、最後の夜にご案内します」と言った。
でも、これは私たちを外出させないためのガイドの作戦だと思う。ガイドの言うことに素直に従っていれば、「ご褒美」として最後に連れていってあげるよという感じだろうか。
ちょっと私は、写真の件で印象が悪いのかもしれない。
ガイド抜きで平壌ナイトツアー
そこで、同じグループで知り合った年上の王さんが、ガイド抜きで外出する方法を考えようと私へ耳打ちしてきた。
王さんも私もナイトツアーに興味を持っていたので、我々は意気投合し平壌ナイトツアーを決行することに。
私たちは、ホテルから抜け出す時にガイドに見つからずに済んだ。実に幸運だった。王さんと私は暗闇の中をひたすら早歩きし、羊角橋を渡り、平壌市街へ向かった。
島(中州)を出て市街地へ入っても街灯はほとんどなく、夜の平壌は真っ暗だ。
しかし、この暗さは、私たちが外国人であることが容易にわからないという利点でもあった。
この時、王さんと私は、スーパーマーケットらしきものを見つけた。地元の人たちが次々と訪れていていっぱいだったので、私たちも入店してみることにした。
北朝鮮の庶民たちの賃金は高くないと聞いていたが、現地の物価がどうなっているのかに興味があったからだ。
中国のスーパーと大差ない?
スーパーに入った途端、異臭がした。表現が難しいにおいで、湿った汗のようなにおいだった。
このスーパーには中国のような商品棚がなく、真ん中に通路があり、両側にガラスのディスプレイケースが並ぶ。
ここでは、自分で商品を取るのではなく、店員に買いたいものを伝えてケースから取り出してもらう必要がある。
カウンターでは果物も売っていた。
北朝鮮はあまり農産物が豊富ではない。そのため、果物の種類も多くはないが、リンゴや梨などは安く感じた。500グラムで7元(約140円)くらいだった。
観光途中で立ち寄った休憩所で買った1つで5元(約100円)の梨に比べればはるかに安い。
一方、バナナは、北朝鮮では生産できず輸入品となるため、かなり割高でリンゴの2倍以上の価格で売られていた。
北朝鮮のスーパーの価格は、私が思っていたよりも全体的に高かった。
たとえば、パン1袋が10元(約200円)以上する。大同江ビールも1本数元である。ここで数十元持っていてもたくさん商品を買うことはできそうもない。
このスーパーの価格は、中国の一般的なスーパーの価格とあまり変わらない。だけど、北朝鮮人の賃金水準は、中国人の賃金水準よりもずっと低いのだ。