突然、コロナ禍前の入国条件に戻したベトナム
新型コロナウイルスのまん延を防止するため、東南アジア各国は、外国人に対して特に厳しい入国規制を実施してきた。
しかし、国内感染者数も高止まりする中、自国の観光産業の復興のためもあって、今年6、7月から規制緩和をする国が増えている。
ベトナムもその1つで、タイのように2021年から段階的に緩和をしてきたのとは対照的に、突然のようにコロナ禍以前の入国条件に戻した。
在住日本人をはじめとした外国人などから不安の声もあったが、8、9月の時点においては、外国人入国者の増加による混乱は特に見られないようだ。
とはいえ、ベトナムへの外国人観光客の入国は、日本人に人気のタイなどと比較して元々かなり少なく、同時期に同じレベルに規制緩和した現在のタイよりもより少ない。
そのためもあってか、かつては長蛇の列だった首都ハノイに最寄りのノイバイ国際空港の入国審査場には、人がほとんどいなかった。
飛来する便数もそれほどないようで、バンコク-ハノイ間のフライトも大半がベトナム人、一部にタイ人だけで、ほかにはそれ以外の国籍者数人というくらいの乗客しかいない。
日本から行くと解放感
入国審査もワクチン接種証明、PCR検査などの陰性証明書も一切不要で、聞かれるとしたら「何日ほど滞在するか?」のみで、会話もほとんどない。
長蛇の列の場合、審査を受けるまでに数十分待たされることもあるのだが、(少なくとも筆者が入国した日は)降機してから入国審査が終わるまで、通路の移動時間を含めてわずか10分程度だった。
ハノイ市中も新型コロナの悪影響があるものの、観光の要となるスポットや飲食店、小売店は十分な数が営業しているので、なんら街歩きは問題ない。
何より、欧米人がマスクをしていないのはもちろん、ベトナム人の半分以上もまたマスクを着用しておらず、日本のようにマスク必須の生活をしていたところから観光に来ると強い解放感を持つことだろう。
接種証明は保健所へ直接行くと良い
空港と市中の移動もタクシー、エアポートバス、配車アプリなどがあり、これもまた平常時と同じ状態で利用できる。
エアポートバスも通常通りの運行で最も安く、配車アプリも東南アジアを席巻する「Grab(グラブ)」は問題なく利用できる。
一般タクシーも配車アプリに対抗してか、空港へはパッケージ料金を用意しており、数年前と比較してもだいぶ安く利用できるようになった。
出国の際も空港はスムーズに出ることができた(筆者の場合だけかもしれないが)。
チェックイン時に、新型コロナウイルスワクチン接種証明の提示を求められたが、念のため日本で取得していたので問題なかった。
ちなみに、日本で接種証明をもらう場合は、アプリ経由で申請・取得が可能だ。
しかし、スマートフォンが対応していない場合は、保健所に直接行くと翌日には発行してくれる。
郵送申請は2週間くらいかかると言われるので、直接が良い。
19年オープンの韓国系免税店も健在
ノイバイ空港の出国フロアは、近々のフライト分しかカウンターが開いておらず、やはり便数の少なさを感じる。
出国手続き後の搭乗口近辺もほとんどの免税店、土産物店が開いているが、これはいつも通りに閑散としていた。
ベトナムは、市中の物価が安いので、わざわざ免税品を手にする必要がない点は大きい。
2015年の第2国際ターミナル開業時から日系の免税店もあるが、2019年にオープンした韓国系の免税店は、搭乗口の前にあるので、人目につきやすく、利用者が散見された。
日本の夏や秋にあたる時期のハノイは雨が多い。
12月から3月上旬は、気温も低く動きやすい時期なので、ベトナム観光のうち特にハノイや北部はこの時期が楽しみである。
その頃には入国審査場も混雑するようになっているかもしれない。
高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)