日本のネット民のコメントを紹介する目的は?
中国共産党機関紙の環球時報は、23日10時20分にSNS微博(ウェイボー)へ投稿した。
なぜ、これを取り上げるかと言えば、NHKの「安倍元首相銃撃 容疑者母 “旧統一教会に申し訳ない”趣旨の話」という報道記事のキャプチャー画像を掲載したからだ。
投稿は、NHKの記事内容に加え、インターネット上の反応を「日本のネット民のコメント」として、「狂った信者」「気分が悪くなる」「息子の事件は寄付や祈りが足りなかったから起こったと思っているのでは?」「詫びる相手を間違えている」などを紹介している。
官製メディアである環球時報が、記事内容以外に日本のネット上の反応、つまり、日本人(とは限らないが)のコメントを紹介するのは珍しい。その目的は何なのであろうか。
この投稿へは、いつものように多くのコメントが書き込まれている。
韓国への言及も激減
事件当初は、9割以上を占めていた安倍晋三元首相の暗殺を喜んだり、個人批判したり、山上徹也容疑者を賛美したりするコメントはきれいに消滅している。
現在は、中国政府の方針転換に忖度したコメントが書き込まれて表示されているようだ。実にわかりやすい。
「邪教が国を壊す」「邪教に謝ってどうする…」「山上徹也はかわいそうだ」「邪教信者は救いようがない」「すでに脳が壊れて常人の感覚とは違うんだろうな」「まさに洗脳」などが確認できる。
上記コメントは一部であるが、削除率は高くないようで、多くのコメントが削除対象になっていない可能性がある。
中国は、統一教会を1997年に邪教認定しているため、邪教批判で占められ、安倍元首相への個人批判、山上容疑者の礼賛、さらに新しい変化としては、韓国への言及が激減している。
洗脳が生まれた国
中国共産党は、毛沢東の時代から「宗教はアヘン」という認識を継続しており、「邪教は大切な人を奪い、国家すらも壊す恐ろしいもの」と強調する。
要するに、宗教=悪ということを繰り返し中国国内へ伝えることで、これまでの中国共産党の宗教政策は、正しかったと国内だけではなく、海外へも伝えたいという狙いが見え隠れする。
「中国共産党は、危険な邪教から中国人民を守ってきた。これからも徹底的に守る」
さらに言えば 中国政府は、欧米を中心に人権侵害への批判が高まっている新疆ウイグル自治区でのウイグル人への弾圧政策も正当化させたいのだろう。
今後、しばらくは、内政目的での宗教糾弾が続くとみられる。
ちなみに、現在中国で日常的に使われる2文字以上の熟語は、日本人が生み出した和製漢語が多い。
実は、このことは中国でも比較的に知られているが、洗脳は、中国共産党が生み出した中国製の漢語とされる。