3月は昨年の4倍以上の貿易額
中国税関総署が4月20日に発表した貿易統計によると、北朝鮮と中国の今年3月の貿易額は、約6100万ドル(約77億円)であった。
前年3月の1400万ドル(約15億円)と比べると、4倍以上の貿易額となる。
このうち北朝鮮の中国への輸出は357万ドル(約4億5000万円)、中国からの輸入は5706万ドル(約72億円)となっている。コメの輸入を再開したほか、住宅建設用とみられる資材の輸入も増加した。
今年1月に中朝間での鉄道輸送を再開して以来、中朝貿易は回復傾向にある。
だが、中国国内の新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、再び中朝貿易が停止した可能性がある。
2年ぶりに中国からコメを輸入
貿易統計によると、北朝鮮は3月に中国から180トンのコメを輸入したことがわかった。統計上、中国からのコメの輸入は、2020年1月に1325トンを輸入して以降、中断していた。
北朝鮮はコロナ禍前、年間10万トン以上のコメを中国から輸入していたことと比べると、量は少ないが、2年ぶりの再開となった。
国内の食糧不足などが影響し、コメの輸入を再開した可能性がある。食料品では、食用油や小麦粉の輸入も目立っている。
木材やアスファルトの輸入が増加
ほかにも木材や、ガラス、アスファルトの輸入が増加している。
アスファルトだけで、50万ドル規模(約6000万円)となっている。北朝鮮は、昨年11月も同水準のアスファルトを中国から輸入していた。
平壌では、2025年まで、毎年1万戸の建設を目標にしていることから、これらは、建設用として使用される可能性がある。
高層マンションを含む1万戸を建設するためには、大量の建設用資材が必要であり、自国だけでまかなうことは難しいからだ。
なお、貿易額での輸入品目1位は、昨年12月から4か月連続でプラスチックとなっている。
再び中朝国境封鎖か
北朝鮮としては、中国からの輸入に頼っており、貿易依存度は95%以上とされる。
これまでの国境封鎖の影響もあって、住宅建設や経済建設のためには、中国との貿易を今まで以上に拡大しないといけない。
だが、先行きはあやしい。
韓国の聯合ニュースは4月29日、中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ貨物列車の運行が、29日付で中断されたと報じた。
丹東市で新型コロナウイルス感染者が確認されたため、4月25日から都市封鎖(事実上のロックダウン)となっていた。
北朝鮮としては、貿易よりもコロナ対策を優先していることから、コロナ流入を警戒して封鎖に踏み切った可能性がある。
再び陸路を完全封鎖したとなれば、丹東の都市封鎖が解除されるまで、再開されることはないだろう。
そのため、必要物資の輸入が滞り、人民生活をはじめ今後の住宅建設や田植えなどにも影響が出る可能性がある。
八島 有佑
@yashiima