北朝鮮人スタッフは丹東で転職済み
中国遼寧省丹東の関係筋によると、北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)の丹東高麗飯店が完全閉店したことがわかった。
丹東高麗飯店は、丹東を代表する観光地の断橋近くと好立地にあるため、日本人の来店者も多い店だった。
閉店理由は、客数減少による経営難とのこと。運営する中国法人が別法人に売却すれば店名そのままに復活する可能性はあるとのこと。
丹東の北レスは、最盛期には10店舗ほどあったが、2018年1月と19年12月の2度の国連制裁履行により閉店が相次ぎ、現在は半分以下になっている。
丹東高麗飯店を運営していた中国法人関係者によれば、すでに在籍していた北朝鮮人女性スタッフは、丹東の中華レストランや一部は近郊の工場へ移動済みとのこと。
今現在でも北朝鮮人労働者は、北朝鮮へは帰国できないので、丹東周辺で「転職」して引き続き中国には残るようだ。
目立つ鴨緑江沿いの一等地に空きテナント
丹東高麗飯店は、2度の国連制裁や新型コロナウイルスによる都市封鎖(ロックダウン)での休店も乗り越え、昨年7月には、過激サービスによって当局から閉店を命じられたなどのフェイクニュースも流されていたが、営業は続けてきた。
新型コロナによる客数減少は、丹東の観光業に大きな影響を与えている。
昨年5月のメーデー連休には、まるでコロナ前のように鴨緑江沿いを大勢の観光客が埋め尽くす写真とともに大々的に報じられていた。
しかし、いまだに丹東への団体旅行は制限された状態が続いており、観光業は非常に厳しい。
2月末に閉店が確認された丹東高麗飯店周辺の観光客相手の北朝鮮レストラン、土産物店などの閉店が増えており、丹東の一等地である鴨緑江沿いでさえも空きテナントが目につくようになっている。
地元の人間は北レスを利用しない
「(北)朝鮮レストランを利用するのは、主に観光客であり、韓国人や日本人を中心とした外国人です。丹東はこの10年で東北(3省)を代表する観光都市に成長しましたが、新型コロナの影響で中国南方からの国内旅行客が激減したため、厳しかったと思います。そもそも、地元の丹東人は朝鮮レストランへは行きませんからね。あまり関心もありません」(丹東の旅行会社関係者)
国連制裁や新型コロナによるロックダウン休店をも生き抜いた丹東高麗飯店だったが、観光不況には勝てなかったようだ。
なお、閉店した丹東高麗飯店前にある北レス柳京飯店は営業している。こちらも来店客数が減っており、北朝鮮人スタッフを減らしたのか、ステージショーは不定期開催となっている。
最近は、飲食業と並行して北朝鮮グッズや絵画販売など物販業に力を入れているとのことだ。