中国政府のゼロコロナ政策に疑問の声

中国政府のゼロコロナ政策に疑問の声

中国で最も在留邦人が多い上海市

 中国上海の日本語フリーペーパー関係者によると、昨年夏以降、上海の関係当局から日本を含め海外の新型コロナウイルス対策を称賛するような内容は、控えるようにとの指導を複数回にわたって受けているという。

 昨年の秋と言えば、日本の新型コロナ陽性者が急速に落ち着き、世界的に感染対策が緩和し始めた時期だ。

 中国政府は、2020年1月からの新型コロナによるパンデミック以降、ゼロコロナ政策を続けている。

 まだ未知のウイルスだった発生当初は、世界的にも中国政府の強烈な私権制限によるコロナ抑制策は、一部からは評価する声もあった。

 しかし、2年経過した現在、中国政府が固執して続ける人権無視のゼロコロナ政策には、疑問の声を上げる国や専門家も少なくない。

国内からの批判を警戒する中国政府

 上海など中国の大都市では、現地在住者向けに日本語のフリーペーパーが発行されている。

 ところが、中国では、外国語の出版物発行は厳しい制限があり、情報誌などを発行することも原則では難しい。

 そのため、建前上、広告として許可し、広告に説明文を載せるという形態で、各都市の日本語フリーペーパーは発行されている。

 広告(DM)を拡大解釈し、ニュース記事やコラムなどを挿入して事実上、日本語の情報誌として発行されているのだ。

 しかし、監視が厳しい中国なので、当然ながら野放しではない。一定の割合で中国語訳を併記することが義務付けられている。

 これは事実上の検閲で、誌面に問題があると判断されば、問答無用で罰金などペナルティが課されたり、厳しい罰則を受ける。
 
 冒頭の上海のフリーペーパー日本人担当者は、上海の日本領事館が出す日本政府による帰国情報以外は、新型コロナの情報には触れていないという。

 実は、中国当局が最も警戒しているのは、国外からの批判ではなく、国内の中国人からの批判だと思うと前出での日本人担当者。 

  中国政府は、ゼロコロナ政策を自信を持って実施しているかと思いきや、そうでもなく細かな部分にも目を光らせて警戒していることがうかがえる。

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