入国者トップ5を欧米諸国が占める

入国者トップ5を欧米諸国が占める

静まり返る深夜のスワナプーム国際空港。まだしばらくはこういった状況が続きそうだ。

 新型コロナウイルス対策で強硬策を続けてきたタイ政府だったが、2021年11月1日から外国人入国者に課していた14日間の強制隔離を免除し、実質的に外国人観光客の受け入れを再開した。

 入国可能だったのは、タイ政府が指定する国で、韓国や日本も含まれていた。

 しかし、12月に入ると変異株の「オミクロン株」がタイにも入り始め、タイ保健省によれば、12月に隔離免除制度を利用してタイに到着した外国人の4分の1がオミクロン株感染者だったと指摘。

 12月21日から2022年1月4日まで、強制隔離の免除は再び停止となった。

 2021年11月の入国者は、タイ観光・スポーツ省の統計によると、全体では9万1255人で、内訳はアジア人1万6732人、欧州人5万2573人など。

 タイが入国可能でも帰国地の入国規制も影響し、特に出入国に厳しいアジア圏内からの渡航者はあまり増えなかった

 11月の入国者の国籍別人数トップ10は同統計では下記の通り。

・1.ドイツ:11,588人
・2.アメリカ:7,960人
・3.英国:7,592人
・4.ロシア:5,836人
・5.フランス:4,816人
・6.韓国:4,171人
・7.イスラエル:3,333人
・8.スイス:2,582人
・9.スウェーデン:2,542人
・10.中国:2,328人

 日本は2238人で中国に続いて11番目に多かった。

韓国人も増加で11月は前月比350%増だったが…

 これまでの観光客入国者数は、中国が圧倒的に多く、続いて隣接する国々、さらに韓国、日本が続いていた。

 欧米の特に寒い国は、この時期のタイ入国が以前から多く、また、欧米諸国も入国規制が緩いところが多いことも欧米人渡航者が多くなる要因とみられる。

 在住日本人によると、「11月以降は目に見えて外国人が増えたという実感があり、かつ欧米人が特に多いという印象」という意見が多く、統計とも合致する。

 韓国は、元々日本人よりも入国者数が多かった。

 韓国人は、日本人へのビザよりも優遇されており、日本人のビザなしは、空路で30日間だけであるが、韓国人は、90日間の滞在が許される。

 また、11月の入国者数が多かったのは、タイ政府観光庁が以前より強制隔離が免除になった際には、タイ北部にチャーター機を利用したゴルフ団体客の受け入れを表明しており、その人数が含まれているからとみられる。

 タイ観光・スポーツ省のリリースでは、前月比350%増、2020年11月の入国者数で比較しても実に約9万人増

4日までの隔離停止措置を続行する可能性が高い

4日までの隔離停止措置を続行する可能性が高い

シンペートセーリーラック病院が制作したオミクロン株の特徴を紹介するアートワーク。こういったイラストなどがネットで出回り、新変異株の情報がタイ国民に伝わっていく 出典 シンペートセーリーラック病院フェイスブックページ

4日までの隔離停止措置を続行する可能性が高い

 強制隔離免除の制度は、成功したかに見えたが、このタイミングに合わせるかのようにオミクロン株が流行。皮肉にもこの観光客増加もまたタイ国内での感染拡大を増長させる結果となってしまった。

 2021年12月27日のタイ保健省の発表は深刻で、オミクロン株感染者は、入国・帰国者を中心に同月23日時点で累計205人だったものが、わずか3日後の26日には累計514人と倍増。

 このペースを考えると、年明けからの拡大は、楽観的予想では1日の感染者数1万人、死者数は60~70人、沈静化までに1~2か月を要す。

 最悪のパターンで推測すると、年明けには感染者数が1日3万人、死者は170~180人にも達し、沈静化するまでには3~4か月はかかるという見通しを示している。

 タイ政府は、隔離免除停止の措置を2022年1月4日までとしているが、現時点ではタイ政府は、停止措置を続行する可能性の方が高そうである

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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