北朝鮮で党中央委員会総会が開催
北朝鮮で、12月27日から朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会が開催された。北朝鮮各種メディアは、29日に3日目の会議が行われ、来年の国家予算案などの審議に入ったと伝えた。
「党中央委員会」は、最高指導機関である党大会が行われていない期間、党大会の役割を代行する機関。
党中央委員会総会(全員会議とも呼称する)は、委員会メンバー全員が参加し、党内外の問題を討議、議決する重要な会議である。
会議は30日も続いているとみられる。通常であれば、総会最終日に決定書が採択、公開される見通しだ。
2019年末に行われた第7期第5回総会は、12月28日から31日までの4日間にわたって行われた。翌年1月1日の党機関紙・労働新聞には、施政方針演説である「新年の辞」の代わりに、総会報告が掲載された。
金正恩総書記が2022年度基本戦略を提示も詳細不明
労働新聞の報道内容をもとに、これまでの3日間の総会内容について見ていきたい。
労働新聞は、1日目(27日)には、「2021年度の党および国家政策の実行状況を総括し、新年度(2022年度)の活動計画に関する問題を討議」したと伝えている。
また、出席した金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、「歴史的な結語『2022年度党と国家の活動方向について』を述べた」とある。
その内容は、明らかになっていないが、2022年度における北朝鮮の党・国家の基本戦略が1日目で示されたとみられる。
この基本方針が、総会全体の基礎となる。
農村問題「革命的な重大措置」に言及
続く、2日目(28日)は、「社会主義農村問題の正しい解決のための当面の課題について重要に取り扱った」と報じられた。
金正恩総書記は、「我が国の社会主義農村問題の正しい解決のための当面の課題について」と題して綱領的な報告を行ったと伝えている。
その中で、金正恩総書記は、「朝鮮式社会主義建設の全面的発展を志向している現実的条件と時代の要求に即して農村振興の雄大な目標を達成するための中長期的な発展戦略と中心課題、具体的な実行策を提示した」とのことだ。
また、農村振興を巡り、「革命的な重大措置」をとったとされたが、その具体的内容は明らかになっていない。
1日目、2日目の金正恩総書記の演説内容については、総会最終日に公開される可能性がある。
部門別協議で外交・国防分野も議論か
3日目(29日)は、部門別分科研究および協議会が行われたとある。
1日目、2日目の金正恩総書記による演説内容・基本戦略を踏まえ、「総会は第2日会議で部門別分科を組織し、研究および協議に入ったのに続いて、第3日会議でも研究および協議を続けた」と伝えている。
この「部門別分科」に関する具体的な言及はなかった。
ただ、労働新聞に掲載された写真では、金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長や李善権(リ・ソングォン)外相の姿が確認できることから、米朝・南北関係など対外分野や兵器開発も含めた国防計画について議論が行われたようだ。
北朝鮮は、これまで「米国が対朝鮮敵視政策を撤回するまで対話に応じない」と一貫して主張し、国連制裁下での「自力更生」方針をとってきた。
こう着状態が続く韓国や米国との対話方針や、来年2月に北京オリンピックを控える中国との関係などについて、どのような方針を打ち出すのか注目したい。
八島 有佑
@yashiima