長白山と長春を2時間17分で結ぶ
24日、中国吉林省の長白山駅と敦化南駅までの99キロ・メートルの高速鉄道(新幹線)が正式開業すると中国共産党機関紙・人民日報が伝えた。同路線は10月29日から試運転をしていた。
長白山駅の正式開業により長春駅までを最短2時間17分で結ぶ。
長白山は、北朝鮮や韓国で聖地とされる白頭山の中国語名で、中国政府は、大型スキー場や空港を建設するなど観光地開発と同時に北朝鮮に対するプレゼンス強化にも近年力を入れている。
今回正式開通した路線は、遼寧省瀋陽から黒龍江省佳木斯を結ぶ瀋佳高速鉄道(高鉄)の一部として2017年8月に着工。原生林を切り開いて建設された自然と調和する「森林高鉄」と人民日報は紹介している。
同路線は、最高時速250キロの5両編成で、2022年1月10日のダイヤ改正以降は、1日最大14本が運行される予定。
最高速度350キロと250キロ規格の違い
最高速度350キロと250キロ規格の違い
中国の新幹線には、最高時速350キロ規格の高速鉄道と最高時速250キロ規格の高鉄が存在する。一般的に両方とも高鉄と呼ばれるが、後者は最も速い高鉄のミニ規格扱いで主に都市と都市を直通で結ぶ短い路線に採用される。
たとえば、大連と丹東を結ぶ新幹線は、ミニ規格となり、丹東から瀋陽を結ぶ路線は、フルスペックの高鉄規格となり最高時速がそれぞれ異なっている。
また、記事では紹介されていないが、中国東北3省を走る高鉄開業時には、冬季の寒さ対策で、減速運転する冬季速度を実施していたが、冬季速度の記載は確認できない。
聖誕節を排除して“朝鮮戦争勝利の日「平安夜」”1択へ
聖誕節を排除して“朝鮮戦争勝利の日「平安夜」”1択へ
なぜ、長白山駅がクリスマスイブの24日に正式開業したかと言えば、朝鮮戦争に関係している。
中国では、クリスマスイブを「平安夜」と呼ぶ。少し前までは、「聖誕節」とも呼んでいたが、中国政府は「中国人は西洋の風習であるクリスマスを祝うべきではない」という方針を打ち出したことで、聖誕節は急速に死語になりつつある。
平安夜は、今年最大のヒットであり、中華人民共和国史上最大の興行収入を記録したというプロパガンダ映画「長津湖」の題材となった長津湖の戦いで勝利し、祖国に平和をもたらせた1950年12月24日に由来する。
中国語の平安の平がリンゴの発音と同じため、クリスマスイブはリンゴを贈り祝う。しかし、クリスマスではなく、いつの間にか“朝鮮戦争で米国に勝利”を祝う日にすり替えられている。
長津湖の”官製大ヒット”もあり、中国政府は、クリスマスを徹底的に排除し、中国が米国に勝利した日として、より大々的に取り上げる1日となりそうだ。