日韓は12歳から接種できる
日韓は12歳から接種できる
新型コロナウイルスの猛威が、アジア各国の政府や国民を右往左往させている中、どの国も無料ワクチンの接種を進めている。
基本的にどの政府も接種を奨励するのは18歳以上、特に高齢者など感染時に死亡率が高い年齢層だ。未成年者は死亡率が低く、また成長期にあり、かつ免疫力も高いことから、どの政府も接種には慎重だ。
日本は12歳から15歳は保護者同伴の下、16歳以上は保護者の同意書なしでも接種可能だ。韓国においても未成年者への接種が進んではいる。一方で、韓国政府としては、12歳から17歳への新型コロナウイルスワクチンの接種は「強く」奨励してもいない。10代に対しては、ワクチン接種が大きなメリットを持たないという考え方だ。ただ、基礎疾患、つまり、何かしらの持病がある未成年者は、感染時に重症化や死亡率が高まる懸念があり、接種を禁じているわけではない。
タイ・ベトナムも12歳からだがベトナムはファイザー限定
東南アジア各国を見てみると、変異株の猛威に晒(さら)されているとされるタイは、10月4日になって、タイ政府から12歳から17歳への接種対象年齢の引き下げが発表された。
タイは例年11月頃に新学期が始まる2期制で、前期が始まる5月の直前に第3波と呼ばれる感染拡大が見られ、ほとんどの教育機関が閉鎖状態となり、前期はオンライン授業などでカリキュラムが進行した。学校側も保護者側も後期は学校に通わせたい意向で、その11月に向けて政府も対象年齢を引き下げたとみられる。しかし、タイでは未成年者へのワクチン接種におけるデメリットがメディアなどで紹介されており、こういった状況になっても、なおワクチン接種をためらう保護者も少なくない。
2020年中頃までは、感染拡大を抑えていたベトナムもまた変異株の蔓延で、市民生活は規制ばかりだ。そんなベトナムでも10月14日なってベトナム保健省が、12歳から17歳へのワクチン接種が承認された。ただし、ベトナムではファイザー製ワクチンのみがこの年齢層への接種が許可されており、2回とも同じファイザー製を接種をすることと定められている。
接種率の高いカンボジアは6歳から接種可能
東南アジア諸国の中で経済的に裕福とは言えないカンボジアは、むしろ接種率が高い。これはカンボジア政府が、未成年者への接種を承認したのが近隣諸国より早く、今年8月1日からだったからだ。2月から18歳以上を対象にワクチン接種が進み、この8月からは12歳から17歳、さらに9月17日には6歳から11歳までの年齢層へのワクチン接種も始まっている。この対象年齢を含めると、1回目の接種を終えた割合は、9月下旬時点で人口の約84%に達した。
東南アジアは、ほとんどが陸続きとはいえ、各国でワクチン接種への考え方は、こうも大きく違う。結果、対象年齢の幅が接種完了率の数字に大きく影響を与えているようだ。
高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)