瀋陽の観光フォーラムに金成日氏登場
9月27日、中国遼寧省瀋陽で「東北アジア文化観光産業発展フォーラム」が開催された。フォーラムには、遼寧省の観光業関係者を中心に日本、ロシア、韓国、北朝鮮、モンゴルなどの代表を含む80人ほどが参加した。
中国共産党の機関紙・環球時報は、遼寧省中韓友好協会と韓国観光公社瀋陽事務所、遼寧省東北アジア経済文化振興会と北朝鮮の柳京旅行社がそれぞれ友好協力の覚書をかわしたと報じた。
北朝鮮からは、金成日(キム・ソンイル)氏が代表として出席している。肩書は、朝鮮民主主義人民共和国国家観光局瀋陽代表処代表と紹介されている。
もしかすると、北朝鮮旅行をしたことがある人なら、金成日氏の名前を見てピンとくる人もいるかもしれない。
金氏は、現在も瀋陽の旧七宝山ホテル内に事務所を置く朝鮮国際旅行社(KITC)の瀋陽代表を務める人物だ。
10年の駐在は珍しくない北朝鮮
ある瀋陽の旅行会社関係者は、「金さんまだ瀋陽にいたんだ!」と驚いていた。北朝鮮観光が停止されてまもなく2年。帰国せずにそのまま瀋陽にいたことに驚いたようだ。
金成日氏は、50代半ばの男性で、2016年春に中国人向けの担当として瀋陽に着任したので、すでに5年半以上ほど駐在していることになる。着任のタイミングで専任で置かれていた日本人向け担当が帰国し、後任は派遣されていないため、金氏が実質的な瀋陽KITCの代表となっている。
日本人の感覚では、駐在歴5年以上は長いと感じるが、北朝鮮領事館や企業と関わる中国朝鮮族起業家によると、北朝鮮からの駐在員は10年ほど駐在することも珍しくないという。
池在竜(チ・ジェリョン)前駐中国大使は、2010年から10年以上、大使を務めていたし、金成日氏と入れ替わりで帰国した前日本担当者も10年ほど瀋陽に駐在していた。
「北朝鮮の定年は60歳と言われるので、金さんは、あと5年ほど定年まで瀋陽にいるかもしれませんね」(瀋陽・旅行会社関係者)
北朝鮮観光再開は近い?
北朝鮮観光再開は近い?
韓国・聯合ニュースの中国語版は、金成日氏がフォーラムでの講演で、「白頭山、元山葛麻、金剛山の観光地開発を紹介し、北朝鮮はインバウンド観光を国家経済開発の重要な問題と位置づけ、観光開発に取り組んでいると述べた」と紹介している。
また、聯合ニュースは、北朝鮮が近いうちの観光業の本格的な再開を見越して、最近、中国東北3省で行われている国際観光イベントへ積極的に参加していると伝える。
金成日氏は中国人担当のため、中国語は話せるが、日本語は話せない。しかし、現在は瀋陽KITCの実質代表なので、瀋陽空港発で訪朝する日本人旅行者へ金氏がビザと航空券を届けたり、中には空港まで送迎してもらったという人もいるなど日本人との接点もある。
なお、今回、なぜ金成日氏の肩書が、国家観光局瀋陽代表処代表だったのかは不明。