重大課題=対朝鮮敵視政策と二重基準の撤回
北朝鮮国営メディア・朝鮮中央通信は9月4日午前9時、「南北通信連絡線」を復旧したと発表した。
同通信は、通信線再開にあたって、「南朝鮮当局は、北南通信連絡線の再稼動の意味を深く刻みつけ、北南関係を収拾し、今後の明るい前途を開く上で先決されるべき重大課題を解決するため積極的に努力すべき」と伝えた。
通信線は2018年に設置したが、昨年6月に脱北者団体による対北批判ビラ散布に反発して北朝鮮が通信線を遮断した。今年7月27日に一旦は再開させたが、8月の米韓合同軍事演習に反発する形で韓国からの呼びかけに応じなくなっていた。その後、9月27日に金正恩(キム・ジョンウン)総書記が最高人民会議(国会に相当)での演説で、通信線再開に言及していた。
同通信が言及した「重大課題」とは、金正恩総書記や金与正(キム・ヨジョン)党副部長らが最近たびたび強調している「対朝鮮敵視政策」と「二重基準」の撤回を指すとみられる。二重基準については、10月3日にも北朝鮮外務省が、「米国と追従勢力(韓国)の軍事演習と攻撃用兵器実験は黙認するのに、我々の自衛的措置にだけ言いがかりをつけている」として、北朝鮮のミサイル実験を問題視する米英仏に非難を寄せている。
金正恩総書記は前述の演説で、「一旦は通信線を再開させる」という言い回しを使用しており、文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応に変化がなければ、再び通信線を遮断する含みを持たせている。逆に、韓国の態度次第では、南北対話や和解も可能とした。
八島 有佑
@yashiima