工事費不払いで訴訟に
韓国・朝鮮日報が22日、およそ47億円投じた中国丹東の国門ビルが廃墟となりゴーストタウン化していると報じた。
国門ビルは、開通延期が続く新鴨緑江大橋に隣接して建てられたその名の通り門を彷彿(ほうふつ)とさせるビルだ。中国の資料を見ると国門ビルは25階建て、高さは約100メートルで、新鴨緑江大橋の周辺では抜きん出て高い高層ビルとなっている。
その国門ビルは、施工業者への工事費の支払いが止まり訴訟を起こされていると朝鮮日報は報じている。
ビルを所有するのは、丹東を代表する自動車会社である曙光汽車集団のグループ企業。曙光は地理的な利点を生かして北朝鮮との取引でも利益を上げていることで知られるが、曙光本体の業績が悪化していることが要因であると伝える。もっとも曙光の売上の中で、北朝鮮との取引が占める割合は非常に小さく、業績不振は、国境封鎖による中朝貿易停止の影響ではなく、本業の売上不振や投資の失敗などとみられる。
瀋陽のマンション並みの高級物件だった
国門ビルは、新鴨緑江大橋とセットで丹東新区の象徴的な存在として大々的にアピールして売り込まれてきた。販売価格は1平米9999元(約17万円)からで、この価格は周辺の新築マンションを比べ高く、同じ遼寧省の瀋陽中心部のマンション価格に近い水準の高級物件だった。
中国のポータルサイト「sohu(捜狐)」が2018年11月8日に公開した記事によると、「近い将来、国門ビルは、出入国管理施設、中朝貿易の会社事務所、住宅、商業テナントなどが入り賑わう予定。国門ビルの対面(内陸側)には、民族建築様式の港湾乗客検査場があり、国門ビルとは連絡通路で結ばれている。また、丹東新区国門湾エリアには、国際展示場があり、すでに10回を越える国際展示会が開催されている。今後、国門湾エリアは、新鴨緑江大橋を中心に大量の物流、情報、技術、資本、人材が集まる丹東の新しい経済拠点となる」と紹介されている。
皇宮をイメージした国門ホテルも計画されているが…
2017年8月17日の同じく捜狐には、国門ビルに開業する予定の丹東国門ホテルをデザインしたというデザイナー孫中島氏のインタビューが紹介されている。
「国門ビルとは一国の門、すなわち“中華の門”として、国門ホテルは中華の威厳と大国の風格を示している。コンセプトは皇宮文化。宮殿、庭園の建築や色彩、レイアウト、素材などの抽出して現代に再現している」とデザインのコンセプトを語っている。
百度(バイドゥ)版ストリートビューで新鴨緑江大橋周辺を見ると、2015年撮影の写真を中心に構成されていて、たまに2018年撮影分と切り替わる。あまり見せたくないのか最新の写真は確認できない。
天気による陰影の影響もあるが、15年と18年の写真を比べると、3年間とは思えないくらい廃墟感が一気に進んだように思えるのは、気のせいだろうか。