「愚か極まりない」「南北関係の完全な破壊は望んでいない」金与正氏
北朝鮮国営メディア・朝鮮中央通信は9月20日、韓国が15日に発射実験を行った潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に関して、「核心的な水中発射技術がまだ完成していない」とする国防科学院の張昌河(チャン・チャンハ)院長の分析内容を報じた。
張昌河氏は韓国のSLBMについて、技術が不十分であり、射程が500キロ・メートル未満の「戦術弾道ミサイルであった」との判断を示した上で、「脅威として捉える段階ではない」と評価した。一方で、韓国がSLBM開発を急いでいることについて、「その内心を注視している」と韓国をけん制した。
張昌河氏は李炳哲(リ・ビョンチョル)前政治局常務委員や金正植(キム・ジョンシク)党副部長とともに北朝鮮の核・ミサイル開発を支えてきた人物。北朝鮮が科学部門高官の対韓分析を公表することは非常にまれである。
韓国のSLBM実験については、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「北朝鮮の挑発に対する確実な抑止力になる」と15日述べたことに対し、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が「愚か極まりない」と非難談話を同日発表するなど新たな懸念事項となっている。ただ、一連の北朝鮮による対韓非難のトーンは抑え目であり、同談話で金与正氏は「南北関係の完全な破壊は望んでいない」と表明するなど、関係修復の意思も見受けられる。
八島 有佑
@yashiima