北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を実施

北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を実施

北朝鮮が9月11日、12日に巡航ミサイル発射実験を実施。13日付・労働新聞より(提供 コリアメディア)

北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を実施

 韓国軍合同参謀本部は9月15日午後0時すぎ、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射したと発表した。弾道ミサイルは今年3月25日以来、半年ぶりとなる。

 北朝鮮は13日にも新型長距離巡航ミサイルの発射実験(11日、12日)に成功し、1500キロ・メートル先の目標に命中したと発表していた。

 北朝鮮は8月に行われた米韓合同軍事演習に反発して対抗措置を訴えていたが目立った反発行動はとっていなかった。ここにきて北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を行なっていることは、韓国軍のSLBM発射実験に対する反発という見方もできる。

韓国軍がSLBM発射実験に成功、実戦配備へ

 9月1日、韓国軍は「島山安昌浩」(トサンアンチャンホ)から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射の初実験を非公開で行なった。同艦は3000トン級潜水艦として韓国が初めて開発したもので8月に就役したものだ。

 さらに15日午後、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した約1時間後に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の立ち合いの下で再び発射実験を実施。韓国政府は実験成功により技術開発が完了したとして、SLBMの実戦配備に移行すると発表した。

 これで韓国は米国、ロシア、中国、英国、フランス、インドに続いて7か国目のSLBM配備国となる。非核保有国としては韓国が初めてだ。

北朝鮮は韓国のミサイル開発を警戒

 北朝鮮はこれまでも韓国の軍事力強化に注意を払ってきた。今年5月に米韓首脳がミサイル指針(韓国軍の射程800キロ・メートルを超えるミサイル開発を制限)の撤廃に合意したが、この時も北朝鮮は「指針撤廃により韓国は北朝鮮全域や周辺国を射程圏内に圏内に納めるミサイルを開発できるようになった」と非難を寄せた。

 また、「北朝鮮の自衛的措置であるミサイル開発に対しては国連決議違反と責め立てるのに、米国に追従する国に対しては無制限でミサイル開発の権利を認めているのは破廉恥な二重基準である」と米国を糾弾している。「韓国にミサイル開発が許されるのに、北朝鮮が禁止されているのは不合理」という論理だ。

 このような経緯もあり、今回の韓国のSLBM開発は、北朝鮮による戦略兵器開発を正当化することにつながりかねない。

米韓の出方次第で今後北朝鮮の反発が強まる可能性も

 また、「対話を目指すなら敵視政策をやめるべき」というのは北朝鮮の一貫した主張である。最近では金与正(キム・ヨジョン)副部長が8月10日の談話の中で、対米方針である「強対強、善対善」原則に触れ、米国側の敵対姿勢に対処するために軍事力を強化すると表明していた。

 在韓米軍を置く米国としては、韓国のSLBM配備は対北朝鮮ではなく対中国としての意味合いが強いのかもしれないが、北朝鮮は米韓軍事演習と同様、SLBM配備を北朝鮮への敵対行動の一環と捉えるだろう。

 もし水面下交渉が滞る中で韓国が軍事力強化を続ければ、北朝鮮が反発することは間違いない。北朝鮮はSLBMや原子力潜水艦の開発を推進してきたが、さらにその動きを加速化させる可能性もある。
 

八島 有佑
@yashiima

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